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Spring Fever

普段なら週に何度も通うことも少なくない
仙台CLUB JUNKBOXに、震災後初めて足を運びました。
会場の右側に設置されたDJブースからは
オルガンとパーカッションがひたすら気持ちいい
インストナンバーが流れていた金曜日。

ギリギリに到着するのはもったいなかったな、と思いながら
DJの流す音楽に耳を傾けるなか、
“仙台時間”でゆっくりと集まってくるお客さんたち。
ちょうどいいタイミングで
バンドメンバーと曽我部恵一さんがステージに
登場して、ライブが始まります。
仙台時間で集まっても曽我部さんはきっと
今日ゆったりやってくれるはず、
そんな空気をまといながら黄色とピンク色が溶け合うライトに照らされて
ニューアルバム“PINK”の一曲目に入っている、“春の嵐”がはじまりました。

そのアルバム“PINK”をひっさげ、“PINKバンド”と名付けられた素敵な
メンバーをひきつれてのライブ。ギターに小暮晋也さん、ベースに伊賀航さん、
ドラムに北山ゆう子さん、パーカッションとスチールドラムに高田陽平さん、
キーボードに横山裕章さん、ハモンドオルガンにヤマグチユキノリさん。

ヒックスヴィルだったり曽我部恵一ランデヴーバンドだったり、
いろいろなバンドやツアーで音を奏でる音職人たちの集団。
このPINKバンドが紡ぐ音は奥行きがあって、
メロウもタフもお手の物。「色」と「質感」の組み合わせが最高でした。

お父さんに抱っこされている男の子を会場にみつけて
“ちっちゃい子いるわ~”とうれしそうに言う曽我部さん。
男の子の位置を確認しながらライブ中も終始気にしていました。
こんな、あったかいMCが最近特に増えています。

“カレー屋の曲です”、とはじまった『がるそん』。
歌詞にもあるけれど、静岡市役所の近くにあって、
いつもカーペンターズがかかっているカレー屋さんなのだとか。
“あ、仙台ではさふらんのカレーが好き”と付け加える曽我部さんにうなずいて、
ゆられながら旅に行きたくなりました。

大好きな「朝日のあたる街」で風を感じたくなり、
「浜辺」で“夜をこえて夜をこえて・・・”とぐるぐる魔法にかかるのです。

「テレフォン・ラブ」では曽我部さんの
“真夜中に好きな人に電話をかけたくなったことがある人!”
という声には~い、と挙がる手、手、手。
“電話は意外と大事だよね”ひとりごとみたいにつぶやいた言葉が
なんだか突き刺さりました。
あの日つながらなかった電話、つながりたかった電話。
この日の口笛は、いままで聞いたどの「テレフォン・ラブ」よりしみてくるのでした。

そして先月の荒吐桜祭では弾き語りで披露された
「なにもかもがうまくいかない日の歌」。
この曲には、各フィールドの偉人の名前がたくさんでてきます。
ボブ・ディラン、聖徳太子、ミッキーマウス、岡本太郎、ルパン、ピカソ、ダリ。    
こんな人にだって、「なにもかもがうまくいかない日があるのさ、
だから大丈夫なのさ」と続く曲。こういう言葉遣い…
世界の近付け方が曽我部さんならではだと思います。

今年はソロ活動10周年になるのだそうです。
セットリストを振り返ると、
ニューアルバムはほぼアルバムの曲順の通りだったと思います。
その中に10年の歴史やサニーデイ・サービスの名曲を織り込んで届けてくれました。

曽我部恵一バンドでリリースされているライブDVDには
仙台CLUB JUNKBOXでのバージョンがあります。
曽我部さんはいつもかなりスピーディーなタイミングで
ライブ盤を届けてくれていますが、あまりにも仙台のライブが良かったので
今夜のライブをパッケージにしたいなぁ・・・なんてつぶやきも出ていました。

また、忘れられない夜が増えました。

□■□この文章はDate fmのネット会員DNA向け
メールマガジンで配信されたものです。
blogへの掲載はライブツアー後にアップしています□■□

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2011年5月13日 23:25に投稿されたエントリーのページです。

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